新宿鮫Ⅱ毒猿/大沢在昌/1991
10年ぶりに再読。
最高 of 最高。
台湾からきた殺し屋の毒猿、彼を追う台湾の刑事郭、毒猿と行動を共にする中国残留孤児の奈美、この3人の関係に心を揺さぶられる。郭と鮫島の友情が熱い。そして毒猿と奈美の関係に胸を締めつけられる。暴力にまみれた濃い人間ドラマを求める人には激しくおススメできる。
以下ネタバレ満載です。
毒猿と奈美が致すシーンがあったように記憶していたけど、5行ぐらいで行為の中身は詳しく描写されてなかった……
シュチュエーション最高なのに……命を狙われる者同士の逃避行中の一夜やで?
大沢さん、そこ詳しく読みたかった……!
ハードボイルド作家のエロ小説読みたい。というより、大沢在昌の濡れ場ばっかりの小説とかないかな。読みたすぎる。
それはさておき、主人公の鮫島が、苦境に置かれながらも警察官を続けるのはなぜか?
※鮫島はキャリアだが、とある事情で警部補のまま出世がとまっている。この時点で36歳。
(ぎゃびんと同じ年やん!30台後半っていい年頃ですね。若くもなく、おっさんまではいかず、そこそこいい年した男て感じで)
「自分の仕事がどういう形で社会の役に立っているのか、この目で確かめられる。国のため、という気持ちとはちがいます。きっと自分自身のためなのでしょう。
自分が納得できるかどうか、それだけなんです」(P126)
国のためにでなく自分のために警察官になり、そしてこれからもありつづける(P320)
私は、鮫島のこのセリフに普遍的なものを見る。組織やお国柄が違っても、警察官という職業に就く人の根底には、これが流れていればかっこいい。
そんな鮫島に共感する郭。
「あなたの背中、私、守ります」
だあーーーーーーーー!郭さんかっこよすぎかよ!!!!!!!
新宿御苑での毒猿との決戦のシーン、冒頭の地図を見て位置を確認しながら読んだ。
すさまじい殺戮……アクション映画や……
新宿御苑行ってみたい。台湾閣見たい。
一番最後の奈美のシーンは涙なしでは読めなかった。
表紙、かっぱノベルズのやつは絶妙にださくていい。「ドゥ・ユアン(毒猿)」ってでかく書いてあるの痺れる。
先日、クリップタイプの付箋を買った。表紙にくっついてるやつ。電子書籍やったらピピってマークできるけど、紙の本はいつも付箋。持ち歩くときぐちゃぐちゃになるから、本にひっつけられるの便利。
読み終わった本を閉じてみると、付箋だらけ。言いまわしとかセリフとか本当にかっこいい。息もつかせぬ展開で、学生の頃、物語に没入しすぎて降りる駅を乗り過ごしたのを思い出した。
自分にとっての名作は、何年たっても名作のままだ。感謝。