僕ですか?これはまことに自惚れるようですがびんぼうなのであります/著者 山之口貘、解説 井上博年/2013
沖縄の詩人 “獏さん” の詩集。ユーモアにあふれていて楽観的でふわふわしているのに、鋭く刺さるような表現が潜んでいたりしてびっくりします。
・世はさまざま
“うむまあ木” という、沖縄のお墓によく生えている変わった木の話。「そばに来ては泣きくずれる かなしい声や涙で育つ」という。
・求婚の広告
獏さんはめちゃくちゃ結婚願望が強くて、この詩では、だれかいい人お嫁にきてくださいと切々と訴えている。まだ見ぬ未来の「女」を、ただ待っている。「あなたを 私は 待ち侘びているのです」
・ミミコの独立
ミミコちゃんは、獏さんの娘の泉のあだ名だそうです。この詩に関する詩で、解説で紹介されていたのがとても好き。
たとえ いなかは どこでも
ミミコはミミコ、ぼくは ぼく
それでじゅうぶん この世界はなりたっている
その証拠に 咲いていなさい 桃の花!
・博学と無学
ポール・ヴァレリーの名前にまた出会いました。そろそろ読んでみる時期なのかもしれません。