旧約聖書を知っていますか/阿刀田高/1994
- 作者: 阿刀田高
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/12/20
- メディア: 文庫
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いつかは読まないとと思っていた聖書。
このエッセイは、軽いタッチで旧約聖書をダイジェストで紹介している。
サルトルの実存主義「人間は何者でもなく、何者であるかは人間によって決定されていく」が、創世記への挑戦だと紹介されていて興味がわいた。
物語は天地創造から始まり、アダムとエヴァ、カインとアベル、ノアの箱船、バベルの党を経て、アブラハムに至る。アブラハム以降は、イスラエルの民をめぐる虐殺の物語だと思った。
ヨブ記が心に響く。「私は裸で母の胎を出た。裸でそこへ帰ろう。神は与え、神は奪う。神の御名は褒めたたえられよ」
以前読んだ森本哲郎著「ことばへの旅・上」にも、“逆境について”というテーマでヨブ記が紹介されていて、心を抉られた記憶が蘇った。
こんなに親切にわかりやすく書かれたものでも、私には難しく感じた。原典はさぞかし難解なのだろう。実際、著者は、満員電車でふつうのサラリーマンが旧約聖書なぞを読んでいたら、気が狂っていると思って間違いないと断言していた。
次は同シリーズの新約聖書。