CF班

まる子ムの生息地です。本読んだりゲームしたり。

ボヘミアン・ラプソディ/ブライアン・シンガー /2018

映画を観に行くというのは、とても心踊る。前の日の寝る前、わくわくしてなかなか眠れない。
生活環境が大きく変わって、映画館でゆっくり映画を観ることができなかったのだけれど、久しぶりにユナイテッド・シネマにやってきた。


前に映画館で観たのはなんだったっけ…?攻殻機動隊の実写?虐殺器官?…ていうぐらい前だわ…
同じ映画でも、タブレットの小さい画面で観るのと、大きいスクリーンで観るのとは全く異なる。映画館では逃げ場がないからね。自分から逃げない限り、映像を見せつけられ続ける。


映画館はとても好き。わくわくもする。でも、どんなに面白いやつでも、観終わったらすごく疲れて頭痛くなるんだ…映画デートとかできるの羨ましいよ。自分は体調悪くなって機嫌悪くなるからできない。だから、なるべく体調の良い日に、次の日何も予定がないときに、ひとりで観に行く。準備は整った。いざ参戦。




自分の音楽の嗜好はかなり偏っていると思う。70年代洋楽ではThe WhoやブラックサバスやAC/DCツェッペリンなんかは大好きでメンバーや曲もそこそこ知っているのに、ディープパープルやストーンズプログレッシブ全般は全くといっていいほど知らない。音楽をジャンルよりもバンド単位で聴いてきたせいかな。そしてクイーンも、青春時代に出会いがなかったので、よく知らない。


前知識は、フレディ・マーキュリーはゲイでエイズで死んだっていうことと、ギタリストのブライアン・メイはペンギンが大好きすぎて生まれ変わったらペンギンになりたい、という2点のみ。ペンギン…すごいどうでもいい話やけど、それ聞いただけでブライアン・メイ好きになったよ。もちろん、あの骨董品のようなギターサウンズも好きですよ。それはちゃんと知ってる。


とんな感じでロックスターの生涯が描かれているのかな。お涙ちょうだい展開の気配を少しでも感じたら唾吐いてやろう(心の中で)
というのも、その人の人生が激動であればあるほど、淡々と描写してくれたらいいなと思うから。感動の押し付けはいらない。だからドラマに満ちた人物の描写は難しいのだ。描く人の作為が入り込んでしまうから…




結果、とてもいい映画でした。クイーンがいかに偉大で、実験的で、異端なバンドであるかを知りました。そしてフレディ・マーキュリーがいろんな意味でトンガっていたということも。


人って、生きていく上で、使える燃料の量があらかじめ決まっているのでは。フレディのような種類の人は、それを普通に燃やし続けずに一気に燃焼させるために、短くしか生きられない…彼の人生を見ていると、そう思わずにはいられなかった。


フレディはパキスタン人だったんですね。彼も、自分には居場所がない、世界は生きにくい、独りぼっちはさみしいと叫び続けた人だった。自身のセクシュアリティもその一部。もう十分、生きにくさを感じているのに、それをマスコミに抉り返されたらたまったもんじゃないですよね。まぁ、私もその偏見の一部で彼を認識していたわけですが。無関心によって形作られた偏見というやつです。


映画の中で、エイズについてはさらっと触れただけだった。私って、この病気のこと何も知らないんやなってことをこの映画を見て知った。どのようにしてこの病気に死に至らしめられるのか、全く知らない。無知を知る。意義あることと思いたい。


栄光に満ちたバンドの成功の裏で、仲違いやソロデビュー、仲間内の裏切りなどのドロドロとした話が生々しい。ややこしい人間関係に疲弊するフレディ。孤独を紛らわすためのアルコール&ドラッグ&セックス。直接的な描写はなかったけど、それでどんどん具合が悪くなっていくフレディは見ていて痛々しかった。でもやっぱり、最後は家族=バンドに帰ってゆく。


映画はアフリカ飢餓救済のチャリティコンサートに向かっていく。クライマックスでのクイーンの20分間のパフォーマンス。熱量がすごかった。こういう、偉大なバンドを描写するのに欠かせないのが、観客の熱狂だと思う。CGになるとうさんくささが出るのかな…と思ったけど、本当にライブ映像を見ているようでした。最後のウィーアーザチャンピョンは鳥肌がたった。




総合的に見て、自分がなぜクイーンにそれほどハマらなかったのかがわかった。
彼らの音楽は振れ幅が大きすぎて、へんなこだわりを持っていた自分には許容できないものだったのかなって。ロックオペラ? はぁ?と思っていたことも思い出しました。ごめんなさい。まんま作中のEMIレコードのお偉いさんと一緒やん…


いろんなものを許せるようになった今なら、彼らの音楽を受け入れることもできるかもしれない。いや、間違いない!ごちゃごちゃ考えずににラブ・オブ・マイ・ライフを聴け。そうしたら純粋にカッコいいってわかるから。過去の自分へ叫んで教えてあげたい。


それにしてもクイーンのファンはいいなぁ…全編を通して作中でクイーンの音楽が流れていて、彼らのヒストリーを役者が演じて再構築してるんですよ。ファン冥利につきる。うらやましい。


できればAC/DCでも同じように伝記を作って欲しい。しかもつい最近死んでしまったマルコム・ヤング視点で。主人公はアンガス・ヤング。私の最も敬愛するバンドです。自分のネット上での名前を彼の名前にするぐらいには、AC/DCとくにマルコム・ヤングを愛している。あのリズムギターに何度魂を揺さぶられたことか。今でも、ずっと揺さぶられ続けている。
よろしくお願いしますと未来に祈っておこう。
そしてSpotifyでクイーンを聴こう。





Love of my life/Queen/1976


you've hurt me
You've broken my heart
And now you leave me
Love of my life
Can't you see?

おまえは俺を傷つけた
俺のこころを痛めつけた
そしておまえは俺をひとりにしようとする
俺が生涯かけて愛する人
わかっているか?

Bring it back,
Bring it back
Don't take it away from me
Because you don't know
What it means to me

返してくれ
返してほしい
俺から奪わないでくれ
おまえはわかっていないんだ
俺にとっておまえがどれだけ大切なのかを



いい曲すぎていいかげんな和訳をしてしまった。ごめんなさい。フレディが恋人に向けて書いた曲。これを観客が一体になって歌うんですよ。ちょっとだけ、泣きそうになった。


最後に。
R.I.P. フレディ・マーキュリー
日本から、未来のいちファンより。