編集者の仕事/柴田光滋/2010
新潮社の編集者のお仕事についての本。主に製本について。
読者は本の内容で本の良し悪しを語るけれど、「読みやすい」「読んでいて疲れない」版面は努力して作られている。しかもそれは完全に「縁の下の力持ち」的な仕事であり、注目されることも評価されることもとても少ない。
本を作ることは余白の取り方や字体の選択にはじまり、扉の入れ方、見出しやノンブルの位置、大きさ、紙の選択、表紙やジャケット(カバー)のデザインの依頼の仕方、帯のデザイン(帯は編集者が作ることが多いらしい)、経験がモノをいう職人気質な世界でもある。
特に、編集者とともに本をつくる校正者の仕事はまじで職人技。
原稿(著者)、指定(編集者)、組版(印刷所)の不備をひとりで正すすごい人なのだ。著者の言う通り、「校正畏るべし」
本書は新書サイズで、わたしはこのサイズの本がとても好き。手に馴染むし、文字も窮屈な感じがしないので。
最強に好きなのは、光文社のカッパノベルズの本文組。二段組で少し文字は小さめ。手元にあるものだと、新宿鮫シリーズ。章のはじめの上段が空いてて、手錠や拳銃のイラストが入ってるのもいい。昔のものやけど、このシリーズと共に育ってきたから愛着があるのかもしれない。
(だから、もし自分の本を作るなら、絶対に新書サイズがいい。ページ数が嵩んでもこれだけは譲れない)
電子書籍に鞍替えしてから紙の本はめったに買わなくなってしまったけど、保管スペースの問題が解決されるなら本当は紙がいいなぁ…なんて思ってしまった。