CF班

まる子ムの生息地です。本読んだりゲームしたり。

女流官能小説の書き方/藍川京/2014

女流官能小説家の藍川京による指南書。官能読み物としても楽しめる。

女性向けのポルノが市民権を得た今、男性向けのファンタジーにまみれた官能描写だけでは消費者、特に女性は納得しない。処女が痛みもなく即快感を得られるとか。女史もこのような嘘の描写に憤慨するとあり、親近感を覚えた。

著者は、自分を作家ではなく職人だと自負する。次々とくる執筆の依頼、レイプもの、SMもの、不倫ものなどの注文に合わせて妄想と感性を武器に物語を書いていく。官能小説を書くことは頭より体力が重要だと断言している。

面白かったのが、官能小説というジャンルについての考察。官能小説に分類されるのは、乱暴に言ってしまうと「BL以外」だと著者は言う。異性どうし、女どうしは官能小説たり得るが、男どうしは官能小説ではなく、BL(著者は耽美小説だと言ってた)に分類されるらしい。へぇ〜〜〜〜〜

たしかに腐女子としては、官能小説は着眼点やシュチュエーションには萌えるけど、女の人の喘ぎ声とか、うーーん……みたいなものが多いので、嗜好のジャンルが違うのかもしれない。女性向けの官能小説もしかり。異性どうしの性描写だから萌えられないのか???自分がその沼にいてそういう人の作品にしか触れないから普通に思っていたけど、全体視点で見ればBLもなかなかニッチな性癖なのだな、と再確認してしまった。

どんなに恥ずかしい、倒錯した性癖でも、それに共感し興奮する読者は必ず存在する。商売として成り立たせるには、大多数の人が好きな乳、お尻、唇などへのフェチを多く盛り込む必要があるけれど、中には青白い皮膚に浮き出た静脈に興奮する人もいる。自分好みのフェチを書く作家との出会いは宝なのだ…!書いてあることを読んで、そう思った。

最後に。官能小説は、読むと「身体が熱くなってきて、セックス、あるいは自慰をしたくなる。人を愛したくなる」ようなもの。人間の「生」が書かれたものだという言葉が印象的だった。